はじめに
感圧センサのAS-FSに関する情報がWEBにあまりないので簡単に紹介します.ちなみにゲーミングデバイスは出てきませんのでその筋の方にはあまり意味のない情報です.
(低レイヤ系のゲーミングデバイス勢の皆さんは,おそらく私と同じことを考えると思うので必読です.)
力センサ事情
気圧センサなどは結構色々選べるのですが,機械的な圧力を測れるセンサは種類が少なく,個人で気軽の買える圧力センサはAS-FS以外だとInterlink ElectronicsのFSRシリーズくらいという感じで結構珍しいです.力の計測の王道としてはロードセルを使えばよいのですが値段やサイズが・・・というのがあって個人で手を出すのは結構際どいラインだと思います.
ちなみに,まともな力センサを安く手に入れる方法として「電子秤を分解してセンサ部を使う」という手があります.
AS-FS概要
詳細 : 浅草ギ研 感圧センサーAS-FSの紹介センサを買うとデータシート的な1枚の紙が付いてきますが,内容は公式サイトの紹介ページとほぼ同じでした.
抵抗値が変化するFSR系と違い,電圧出力なので出力ピンをADCするだけで力が測れてお手軽です.それに小型,安価なので導入もしやすいと思います.
センサ構成
分解画像 |
大きく分けて基盤とゴム部の2つから構成されています.2つはネジとナットで組んでありました.
白いゴムの感触はモノ消しゴムのような感じ.
原理的は渦巻きのパターンの部分に黒い導電性のゴムが当たって,当たってる具合で抵抗値が変化するような感じでしょう.
評価
簡単に使ってみました.(かなり適当なので参考程度にお願いします)評価環境
MCU :CY8CKIT-050 PSoC® 5LP Development KitADCにはΔΣ型ADCを使いました.センサの出力はADC_INピンに直入れします.
コンフィグ |
評価
ノイズ的には,サーミスタと同じようなモノなので回路の頑張り次第です.ちなみに適当に繋いでも8bitで揺れがないくらいでした.最小感度はゴムを固定しているネジの閉め具合で決まります.ゴムが基盤から浮くくらいネジを緩めると,かなり感度が上がりますが0N付近の出力の安定性が大きく下がります.まともに測れるレンジは100g以上だと思います.それ以下は検出自体は出来ますがかなり不安定な感じです.
最大感度はデータシート通りの2kgくらいでしょうか.思い切り握っても値は上下しているような気もするのでもう少し高いかもしれません.
ヒステリシス
これがかなりの曲者です.無負荷→押す→無負荷という手順を行うと,前後の無負荷の出力が異なります.例を挙げると,950→1200→980,みたいな出力になります.センサの原理を考えれば当然ですが,絶対値の測定などは結構厳しいです.
また,ネジの閉め具合で無負荷時の値が大きく変化します.そういう意味でも再現性がかなり低いです.原理から言うと気温とか湿度とかそういう影響も受けそうですね.
瞬間的な圧力の相対値とか,圧力の増加/減少は測れるのでそういう所には使えると思います.
長期的に運用しながら絶対値を測るような使い方には向いていません.ゴムの固定方法を工夫した上でキャリブレーションを丁寧にすればなんとかなるかも?,みたいな感じだと思います.
まとめ
- 導入は簡単
- 出力ピンをADCするだけ
- ヒステリシスが大きい
- 0N→押す→0N のような操作をした時に前後の0Nで値が異なる
- 絶対値の測定には向かない
- ゴムの状態によって出力値が変わる+ヒステリシス
このセンサはあくまで感圧センサで,圧力センサではないです.
「インテリジェントな検出スイッチ」みたいな使い方が向いていると思います.
0 件のコメント:
コメントを投稿