2016/01/27

浅草ギ研 感圧センサー 「AS-FS」レビュー

はじめに

感圧センサのAS-FSに関する情報がWEBにあまりないので簡単に紹介します.
ちなみにゲーミングデバイスは出てきませんのでその筋の方にはあまり意味のない情報です.
(低レイヤ系のゲーミングデバイス勢の皆さんは,おそらく私と同じことを考えると思うので必読です.)

力センサ事情

気圧センサなどは結構色々選べるのですが,機械的な圧力を測れるセンサは種類が少なく,個人で気軽の買える圧力センサはAS-FS以外だとInterlink ElectronicsのFSRシリーズくらいという感じで結構珍しいです.
力の計測の王道としてはロードセルを使えばよいのですが値段やサイズが・・・というのがあって個人で手を出すのは結構際どいラインだと思います.
ちなみに,まともな力センサを安く手に入れる方法として「電子秤を分解してセンサ部を使う」という手があります.

AS-FS概要

詳細 : 浅草ギ研 感圧センサーAS-FSの紹介
センサを買うとデータシート的な1枚の紙が付いてきますが,内容は公式サイトの紹介ページとほぼ同じでした.
抵抗値が変化するFSR系と違い,電圧出力なので出力ピンをADCするだけで力が測れてお手軽です.それに小型,安価なので導入もしやすいと思います.


センサ構成

分解画像

大きく分けて基盤とゴム部の2つから構成されています.2つはネジとナットで組んでありました.
白いゴムの感触はモノ消しゴムのような感じ.

原理的は渦巻きのパターンの部分に黒い導電性のゴムが当たって,当たってる具合で抵抗値が変化するような感じでしょう.


評価

簡単に使ってみました.(かなり適当なので参考程度にお願いします)

評価環境

MCU :CY8CKIT-050 PSoC® 5LP Development Kit

ADCにはΔΣ型ADCを使いました.センサの出力はADC_INピンに直入れします.
コンフィグ

評価

ノイズ的には,サーミスタと同じようなモノなので回路の頑張り次第です.ちなみに適当に繋いでも8bitで揺れがないくらいでした.
最小感度はゴムを固定しているネジの閉め具合で決まります.ゴムが基盤から浮くくらいネジを緩めると,かなり感度が上がりますが0N付近の出力の安定性が大きく下がります.まともに測れるレンジは100g以上だと思います.それ以下は検出自体は出来ますがかなり不安定な感じです.
最大感度はデータシート通りの2kgくらいでしょうか.思い切り握っても値は上下しているような気もするのでもう少し高いかもしれません.

ヒステリシス

これがかなりの曲者です.無負荷→押す→無負荷という手順を行うと,前後の無負荷の出力が異なります.例を挙げると,950→1200→980,みたいな出力になります.
センサの原理を考えれば当然ですが,絶対値の測定などは結構厳しいです.

また,ネジの閉め具合で無負荷時の値が大きく変化します.そういう意味でも再現性がかなり低いです.原理から言うと気温とか湿度とかそういう影響も受けそうですね.

瞬間的な圧力の相対値とか,圧力の増加/減少は測れるのでそういう所には使えると思います.
長期的に運用しながら絶対値を測るような使い方には向いていません.ゴムの固定方法を工夫した上でキャリブレーションを丁寧にすればなんとかなるかも?,みたいな感じだと思います.


まとめ


  • 導入は簡単
    • 出力ピンをADCするだけ
  • ヒステリシスが大きい
    • 0N→押す→0N のような操作をした時に前後の0Nで値が異なる
  • 絶対値の測定には向かない
    • ゴムの状態によって出力値が変わる+ヒステリシス
結論から言うと,私が使いたい用途には向きませんでした.
このセンサはあくまで感圧センサで,圧力センサではないです.
「インテリジェントな検出スイッチ」みたいな使い方が向いていると思います.

2016/01/25

加速理論とその後の周辺

はじめに

私の現在のマウス加速の設定とその設定の考え方について紹介します.

関連記事

#LogicalGaming: 加速理論とその周辺
ゲーミングにおけるマウス加速は有効にするべきか,それとも無効にするべきかという是非について議論しました.

rafalog: マウスアクセル調整ツール Interaccel紹介
rafa様によるInteraccelの紹介記事です.

rafalog: Interaccelセッティングガイド
rafa様によるInteraccelの設定方法のガイドです.


パラメタの設定方法

私は無加速時のセンシティビティを基準に設定しました.

私はCSGOをsensitivity 1.0,加速オフでプレイしていました.DPIが750の時で180度振り向くのにおよそ35cmほどです.
400DPI換算だとsensitivity 1.875程度ですね.プロプレイヤーの平均的コンフィグと比べると少し低いですが,私は左利きなのに右手でマウスを扱っている上に,身体を操作する能力が高くないので「こんなもんかな」と考えています.

この35cm/180°というセンシティビティは,私がFBを回避できるくらいの速さで視点を回すことができ,かつ遠距離でもHSを狙っていけるギリギリのラインです.
欲を言えば,500DPIのほうが遠距離の精密射撃は安定するのですが,500DPIだとFBの回避やクロスレンジでの撃ち合いがかなり厳しいです.対して,1000DPIだとクリアリングやFBの回避はスムーズに出来ますが,不調時にAimingの精度が低下し安定感がありません.
したがって,500DPI~1000DPIの「いいとこ取り」をしようということで加速を設定しました.

数時間の調整でこのようになりました.まずマウスのDPIを1000DPIに上げました.
そして,低カウント時に500DPIとなるようにPost-ScaleX,Yを0.5に設定しました.
Acceleration値は低めの0.05にしました.色々試してみたのですが,無加速時の設定に慣れすぎたためか,数値を0.1や0.2にすると違和感が大きかったです.
以上で右のグラフのように,1Count/Pollingの時に500DPI,20Count/Pollingの時に1000DPIになるような設定になります.

また,現状では,Acceleration値が低いためSensitivity Capが入れていません.今後入れるかもしれませんが・・・.Acceleration値を高く設定する場合は必須だと思います.


経過観察

Aimは無加速時の水準に戻すまでに2,3日かかりました.Aim戻し方はブランクがあった時と同じですね.ACEやいい感じのフラグシーンもそこそこ出ているので,あとは今後の慣れ次第だと思います.
加速を入れるとAWPが当たらなくなるイメージがあったのですが,そうでもないようです.

余談ですが,無理にマウスを振らなくて良くなったのでSurfがかなりやりやすくなりました.

おまけ

2016/01/01

2016年

はじめに

あけましておめでとうございます.今年も#LogicalGaming#LogicalGamingGlobal@systema_(CG/計算機な人は@aaax3001も)をよろしくお願いします.

ブログを立ち上げてから2年が経ちました.2014年は44記事と,かなり見せつけていった感じもありますが,対する2015年は10記事でその中で内容があるものは7記事程度とあまり芳しくない結果になりました.

優先順位的には(1)リアルでのタスク,(2)シューターのプレイ,(3)ブログの更新という順序なので,1つ目が詰まってくるとプレイヤーとして活動するだけでいっぱいいっぱいになってしまいました.コンスタントに更新しているデバイス勢のみなさまをリスペクト不可避です.
しかし,徐々に時間の使い方上手くなっているような気もするので今年はもう少し更新できるような気がしています.

2015年を振り返って

記事にはしていませんが,ADNSセンサとSPI通信の実装について理解が深まったのが技術的な収穫でしょうか.
そろそろオシロスコープが欲しいです.

また,CS:GOのStatTrak™ について簡単な開発をしました.

現存する類似物の中では,最も再現性の高いディスプレイ表現が出来たと自負しています.

それでは去年の記事で印象深いものをいくつか紹介します.

加速理論とその周辺

これが一番反響が大きかったように思います.便利なツールも出てきましたので,マウス加速についてもう少しフォーカスされるようになると良いと思います.

また,この記事ではもう一つ言いたかったことがあります.それは,これまでのように風習や経験則,感覚を大切にすることも大事ですが,定量的なデータを使用したり工学的(科学的)な視点からの論理的な考察も加わることでゲーミングは更なる高みを目指せる,ということです.

ただ「理論だけをブチ上げて手を動かさない」という説得力のないパターンになりつつあるので,実際に動くものを作るということにも注力していきたいです.

描画遅延の基準点を調べてみる

VR界隈でも描画遅延と「酔い」の関係などがフォーカスされてきており,そういう意味でも描画遅延ネタは継続していきたいです.この記事で理想値は分かったので,今後は「そこにどうやって近づけるか」ということを議論していきたいです.特に,最近のWindowsはDWMが明示的にオフにできない事による影響や,ゲーム内のコンフィグに起因する遅延の増減などを調べられることを考えています.

#LogicalGamingGlobal

 低レイヤーの部分を扱うデバイス勢の方は少ないので,探索範囲を広げて交流していけばより多くの知見が得られると考えて始めました.今年はきっと更新します・・・.ゲーミングデバイスオタクにも英語力が求められる時代ということでしょう.
さしあたり,描画遅延について書き始めたのですが,知っていることを全て書こうとするとIEEE Transactionsのフォーマットで10pくらいになりそう,ということが分かってきて止まっています.ですので,適当で良いので英語の文章とデータを出したほうが良いのかなと思い始めています.

近況

デバイス

年末にDPのマウスパッドを7枚買いました.興味深い特性を持つものがいくつかあったので,じっくり考察していきたいと思います.表面画像も近いうちにアップロードします.

使用中のデバイスは,マウスはG100s(形状的にはG300がベスト),マウスパッドはコントロール系の布マウスパッドというのが2015年に出た結論です.しかし,マウス加速に関して考えると,マウスパッドに関してはまだまだ調べる余地がありそうです.
今はRazer Orochi 2015が気になっています.形状は異なりますがG300に近いコンセプトで,センサー性能が良さそうです.

ゲーム

CS:GOではランクをGEにすることが出来ました.ただ,私が強くなったというよりはシステムの仕様変更による影響が大きそうです.しかし,とりあえずの目標を達成することが出来たので嬉しいです.
12月中旬からはCS:GOを休止してTom Clancy's Rainbow Six® Siegeをプレイしています.ユーザが明示的にマップを改変して守ったり攻めたりするシューターは珍しいので,しばらくプレイして可能性を探りたいと思います.