2014/11/29

レンズ距離とセンサの関係 ~ソール・オン・ソールにするとマウスに何が起きるのか?~

ゲーミング界隈では,いわゆる「純正ソール」の上に自分の好きなソールを重ね張りするというセッティングを使用している人がそれなりに居るようです.
詳しくはソール・オン・ソールの語源(?)ともなった下記事を参照下さい.
4Gamer.net ― DHARMAPOINTに聞く新型マウス「DRTCM37&38」。これが「俺達のIE 3.0」だ!?

また,重ね張りでなくとも自前のソール(トスベールや各メーカがラインナップしているマウス用のソール)を使っている人は多いでしょう.この時,純正ソールと厚さが違えばレンズと滑走面の距離は変化します.また,純正ソールを使っていてもソールの摩耗によってレンズと滑走面の距離は変化します.

レンズと滑走面の距離はデータシートで指定されており,メーカは純正ソールを貼った時にデータシートの距離と等しくなるように筐体の設計を行っているはずです.基本的にはデータシートの指定値で最もパフォーマンスが高くなるはずです.また,レンズと滑走面の距離によってDPIが異なる事を述べましたが,DPIの設定値が真に"Dot Per Inch"を意味するのもこの距離になります.


そこで,
ソールを重ね張りした時マウスはトラッキング面をどのように見ているのか?
そして,逆に純正ソールを剥がして薄いソールに張り替えた場合にどのようにマウスはトラッキング面を見ているのか?
というのを先日作成したシステムを用いて視覚的に解き明かしていきたいと思います.


装置概要

下記事参照.
#LogicalGaming: マウスの光学センサが見ている世界を見てみる

今回はマウスパッドをSteelSeries QcKとして滑走面とレンズの距離を変化させます.
そして各距離でのピクセルアレイの様子を観察します.

高さを変化させるのに使用するのは一円玉で,一枚の厚さは約1.5mmです.
rafa様のようにすきまゲージがあれば良かったのですが...

今回は筺体を外して基板とレンズのみの構成にします.
これでデータシート通りの寸法で測ることが出来ます.
ADNS-5090 Low Power Optical Mouse Sensor Datasheet
Figure 5. Distance from lens reference plane to tracking surface (Z)


結果

0枚から4枚までの順に下に示します.
0枚(0mm)
1枚(1.5mm)
2枚(3.0mm)
3枚(4.5mm)
4枚(6mm)
この結果を見ると,もう少し詳細に調べたほうが良さそうにも思えますね.

1.5mmが一番良好な結果になりました.標準の距離は2.4mmなので,差が小さい3.0mmの方が良い結果になると思ったのですが.
これから考えると,ソールが多少薄くなる分には性能には大きく影響しない可能性が考えられます.
逆に厚めのソールを重ね張りする場合は性能に影響がありそうです.一時期ソールの重ね張りをしていた時,高速動作時のトラッキングエラーが頻発した経験の裏付けが取れた感じですね.

また4.5mm程度,つまり標準の距離から2.1mm程度で暗くなり始めます.6.0mm(標準の距離から3.6mm)程度では真っ暗になるという結果になりました.
これから考えると,前に示唆した通りLoDが長い機種は「特にカットオフのアルゴリズムは使用していない」という可能性が高いということが分かります.

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