2015/01/25

マウスが見ている視界はどれくらいの大きさなのか?

以前マウスが見ている景色について調べたという記事を書きました.
マウスのセンサはマウスパッドをカメラのようなもので撮影して,そこから動かした距離を測定しています.
そのセンサの仕組みの中で,「マウスがどのような写真を撮影しているのか」という事を調べました.

今回はマウスのセンサがマウスパッドの表面でどれくらいの範囲を見ているのかを明らかにしていきます.
範囲が分かることにより,マウスが読み取れるような凹凸パターンのサイズに検討がつきます.
例えば,凹凸のサイズが非常に大きい面ですとマウスは小さい範囲しか見えないので変化がないように見えます.逆にマウスからは滑らかに見えるくらい小さい凹凸しかなければそれも変化を読み取ることが出来ません.どちらの場合も良好なトラッキング結果は得られないでしょう.

それではいくつか撮影してみましょう.撮影環境は前回と同じです.
まず最初はどこのご家庭にもあるノギスです.目盛の部分を撮影しました.
ノギスの目盛部分
目盛の黒い線がくっきり写っています.
"目盛の太さ"は目測ですが0.1~0.07mmくらいだと思います.

次はレシートに印刷してあったQRコードを撮影しました.
レシートのQRコード
こちらも綺麗に写っています.
このQRコードは12.2x12.2mmの範囲に33x33ピクセルで印刷されています.


この2つの画像から考えると,ADNS-5090が見ている範囲は0.8x0.8mm程度であることが分かります.ADNS-5090は19x19ピクセルの画素数ですので,1ピクセルが表す範囲は0.04mm程度であると分かります.


補足 : レンズ倍率について
レンズの倍率を低くしてDPIを犠牲にしつつ最大トラッキングIPSを上げたりするようなこともあるらしいです.

倍率を変更すると見える範囲も変化するので適切なパターンのサイズも変化します.
例えば低倍率にすると見える範囲が大きくなり最大トラッキング速度は上昇しますが,その分小さな凹凸は見えなくなります.その場合は表面の凹凸パターンが大きめのマウスパッドの方がより良いと考えられます.

生存報告も兼ねて.

2015/01/06

2015年

あけましておめでとうございます.
今年も#LogicalGaming@systema_,(CG/計算機な人は@aaax3001も)をよろしくお願いします.

・2014年を振り返って

ブログを立ち上げたのが2014/01/10なので,ちょうど一年程になります.
1-3月はあまり更新していませんでしたが,4月にrafa様のブログで取り上げて頂いてから本格的に活動を始めたような気もします.そういった中で様々な人から反応を頂きまして,更新のモチベーションになりました.
書きたいと思った記事はその時その時でタイトルだけ書いて全部下書きにしているのですが,下書きの個数は減るどころか増えています.ブログの更新するネタがないなんて言っている人が羨ましい・・・ :D

3月の終わりにこんなツイートをしたのが懐かしいです.
宣言通り「ゲーミンググレードのデバイス開発を目標とした試験と解析」はしていたのでよしとしましょう.センサ・スイッチの制御とUSB関係の基礎的な知識がついたのが良いですね.


ついでに去年の記事の中で印象深いものを幾つか紹介.

USB HIDデバイスのクリックの最速応答を考える
USB HIDが制御出来たのが嬉しくて突発的に書いた記事です.
私でも比較的容易にクリックレスポンスの速い実装が出来ました.つまり,クリックの応答速度が速いメーカーが秘伝のタレを持っているのではなく,速度が遅いメーカーが何らかの理由で遅くしているという事でもあります.理由に関してはマーケティングやサポートであったり,優先度の低さなどもあると思います.
そういう意味でも良いゲーミングのためには,ユーザ自身が明確なデータを測定して公開するというのは大事なのだと思います.


マウスの光学センサが見ている世界を見てみる 
ADNS系センサの制御は組み込み方面ではそこそこ見かけるのですが,PixelGrabberについてはちょこっと動画があっただけであまり使われていません.
そういった中で,ゲーミングマウスパッドがマウスの光学センサからはどのように見えているのかを示しました.解像度が低いのでもっと意味不明な感じだと想像していたのですが,思ったより顕微鏡画像っぽく見えたのがナイスですね.
今後の私のマウスパッドレビューではPixelGrabberで取得したマウスパッドの表面画像がつくようになるでしょう.泡沫ブログなのでレビューに個性が出すいいツールになるかもしれません.
光学・レーザーにおける差異を見てみたいのでレーザセンサもやるべきなのですが・・・今年の課題ということで.


どの記事も内容的に「訳わからん」と言われがちなのでもう少しわかりやすくしたいです.
このブログを訪れるユーザが「rafalogの過去の記事を全て読んでいる」という前提で話を進めているのが問題なので,もう少し導入部分に力を入れていきたいです.


次は"ゲーミングを定量化する"という,このブログ本来のテーマに基づいたものです.

ゲーム毎の描画遅延を測定してみる
「ゲームのタイトルによって入力が画面に反映される時間に差異がある」という現象事態は多くのゲーマーが感覚的に認識しつつも公表はあまりされていません.「遅延というパラメータがゲーミングのパフォーマンスに影響する」という事自体が,ここ数年でやっとメジャーになってきたというのが私としての認識です.
その"遅延の差"の存在を証明し,ミリ秒単位で定量的に測定できる手法について示しました.
遅延の差の存在を証明することと,タイトル毎の優劣を明確に測定・公開することによって,ハードウェアの遅延だけではなくゲームエンジンや実装における遅延低減がフォーカスされると良いですね.


Reaction Time (反射神経)とAimの関係
Reaction TimeがAimとどう関係するのか?Reaction Timeを縮める為に効果的な物はあるのか?
こういったことをゲーミングを指向して調査しました.結論として,人間も含めて全てを「システム」として捉えると,ハードウェアやOSに起因する遅延を出来るだけ低減するようにセッティングするべきだということと,人間のReaction Timeに関してはばらつきが大きく明確に改善する方法はないという事を示しました.
人間においては「集中力」というのがかなり重要な要素になっているのが分かったので,暗示(条件付け)についてもう少しフォーカス出来ると面白いと思います.


FPSにおける武器の精度について考えてみる
この記事で最も言いたかったのは,精度が高い武器を使用すると許容される誤差が大きくなるという点です.あまり反響がなくて残念ですが :(
私はシューターにおいて初弾の精度はかなり重要なパラメータだと考えているのですが,世間一般ではそうでもないのでしょうか.


・最近

年末年始は描画遅延の調査に必要になったためOpenGLを触っていました.
極端にシンプル(数ステップ)なルーチンを持つOpenGLアプリケーションを作成して,入力→ディスプレイへの描画における遅延時間の基準点を調べる予定です.
とりあえず実行ファイルは出来たので後は撮影とデータ整理ですね.ハイスピード撮影で動画は撮ったもののコマ数を数えるのが面倒でやっていない,という事態がここ2ヶ月程度続いているので・・・作って満足してしまうタイプなのかもしれません.

また,あのページ自体も「とりあえず測る環境は出来たので記事にする」という感じで公開した物なので,もうより体系的・定量的にまとめる必要があります.


あと,私はFPSでもスペースキーで射撃するという結構独特なスタイルだったのですが,レイテンシが気になってきたので構成を変えました.射撃はキーボードの下に置いたG302でやることにします.
こうすればクリック中に右手の筋肉の動きは制約を受けないし,レスポンスも最速クラスです.
マウスはアレ以来ずっとG100sを使っています.


もう一つ,COUGAR Gaming Mouse Pad - CONTROL series買いました.
このシリーズ,ControlタイプとSpeedタイプという2種類がラインナップされていて,Speedタイプは巨匠ことMysticSiva様がレビューされています.
Cougar SPEED gaming mouse pad | Chocolate Device

このマウスパッド,中々いい感じなのと,Controlタイプは3次元形状を持つ滑走面が売りらしいのでそのうちレビューしたいです.



と言いつつ・・・1,2月は相当忙しくなりそうであまり更新出来ない予定です.