2014/11/29

レンズ距離とセンサの関係 ~ソール・オン・ソールにするとマウスに何が起きるのか?~

ゲーミング界隈では,いわゆる「純正ソール」の上に自分の好きなソールを重ね張りするというセッティングを使用している人がそれなりに居るようです.
詳しくはソール・オン・ソールの語源(?)ともなった下記事を参照下さい.
4Gamer.net ― DHARMAPOINTに聞く新型マウス「DRTCM37&38」。これが「俺達のIE 3.0」だ!?

また,重ね張りでなくとも自前のソール(トスベールや各メーカがラインナップしているマウス用のソール)を使っている人は多いでしょう.この時,純正ソールと厚さが違えばレンズと滑走面の距離は変化します.また,純正ソールを使っていてもソールの摩耗によってレンズと滑走面の距離は変化します.

レンズと滑走面の距離はデータシートで指定されており,メーカは純正ソールを貼った時にデータシートの距離と等しくなるように筐体の設計を行っているはずです.基本的にはデータシートの指定値で最もパフォーマンスが高くなるはずです.また,レンズと滑走面の距離によってDPIが異なる事を述べましたが,DPIの設定値が真に"Dot Per Inch"を意味するのもこの距離になります.


そこで,
ソールを重ね張りした時マウスはトラッキング面をどのように見ているのか?
そして,逆に純正ソールを剥がして薄いソールに張り替えた場合にどのようにマウスはトラッキング面を見ているのか?
というのを先日作成したシステムを用いて視覚的に解き明かしていきたいと思います.


装置概要

下記事参照.
#LogicalGaming: マウスの光学センサが見ている世界を見てみる

今回はマウスパッドをSteelSeries QcKとして滑走面とレンズの距離を変化させます.
そして各距離でのピクセルアレイの様子を観察します.

高さを変化させるのに使用するのは一円玉で,一枚の厚さは約1.5mmです.
rafa様のようにすきまゲージがあれば良かったのですが...

今回は筺体を外して基板とレンズのみの構成にします.
これでデータシート通りの寸法で測ることが出来ます.
ADNS-5090 Low Power Optical Mouse Sensor Datasheet
Figure 5. Distance from lens reference plane to tracking surface (Z)


結果

0枚から4枚までの順に下に示します.
0枚(0mm)
1枚(1.5mm)
2枚(3.0mm)
3枚(4.5mm)
4枚(6mm)
この結果を見ると,もう少し詳細に調べたほうが良さそうにも思えますね.

1.5mmが一番良好な結果になりました.標準の距離は2.4mmなので,差が小さい3.0mmの方が良い結果になると思ったのですが.
これから考えると,ソールが多少薄くなる分には性能には大きく影響しない可能性が考えられます.
逆に厚めのソールを重ね張りする場合は性能に影響がありそうです.一時期ソールの重ね張りをしていた時,高速動作時のトラッキングエラーが頻発した経験の裏付けが取れた感じですね.

また4.5mm程度,つまり標準の距離から2.1mm程度で暗くなり始めます.6.0mm(標準の距離から3.6mm)程度では真っ暗になるという結果になりました.
これから考えると,前に示唆した通りLoDが長い機種は「特にカットオフのアルゴリズムは使用していない」という可能性が高いということが分かります.

2014/11/28

サーバーのPingが高いので何とかしてもらった話

近頃のGO界隈で流行りのVPSサービスはFOREVER.NETですが,仙台からこのVPSに繋ごうとするとPingが140ms程度になっており中々困っていました.他の国内のサーバは10~15msなのですが.

「そのうちに治るかな」と1,2週間様子見していましたが変化がありません.
コマンドプロンプトにてサーバのIPでtracertしてみたところVPSの運営会社のノードまで到達した後100ms遅延しています.(何故かオーストラリアへ行っている模様?)

とりあえずサイトの問い合わせ欄からコマンドプロンプトでtracertしたログを添付してお願いした所,翌日には改善しておりPingが10msになっていました.


今回の場合,直接お願いして改善して頂きましたが,こういう時普通ならどうすれば良いのでしょう?とかネットワークの知識は全然ないので思ったりもしました.

2014/11/25

マウスの光学センサが見ている世界を見てみる


1 概要

今回作成したのは,AVAGO製光学センサが有する機能の1つであるPixel Grabberの可視化システムです.
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2014/11/25 初出
2015/01/25 COUGAR CONTROL Mouse Pad 追加
2015/05/20 Artisan 紫電改 MID 追加
2015/11/23 HORI EDGE 401 追加,レイアウトを調整
2016/01/24 DHARMAPOINT DRTCPWシリーズ 7種 追加
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2 このシステムの意義

通常のマウスのセンサシステムでは単一光源(通常はLED)から光源用レンズを通して単色光が照射され,それをレンズを通してセンサは受け取っています.これは顕微鏡や虫眼鏡等の通常の光学機器での表面の観察と大きく異るので,マウスパッドの滑走面の状態がどのようにセンサ性能に影響するかについて評価する時にはあまり意味がありません.

本システムを用いることで,「マウスパッドの滑走面の状態がセンサの視点ではどのように見えているのか?」ということを直感的に理解することが出来ます.これによってセンサの性能を引き出すようなセッティングを模索する補助や,悪いセッティングであることを認識し校正する手段としての使用が期待できます.

3 マウスに搭載されている光学センサについて

マウスに搭載されているセンサを大まかに例えるとモノクロのデジタルカメラのようなものです.このカメラは解像度が19x19や30x30で,19x19の場合だとTwitterのアイコンにもならないくらいです.このように,普通のデジタルカメラと比較すると圧倒的に低解像度です.
今回使用するADNS-5090では画素数19x19のピクセルアレイを有するセンサです.

マウスが滑走面に覆いかぶさるように置いてあるので,何も照射しないままだと滑走面が暗くて何も見えません.なので,搭載されているLED(もしくはレーザ)をカメラのフラッシュ代わりにして滑走面を照らします.そして前の画像と現在の画像を比較して移動距離を算出します.移動量の算出は毎秒数千~数万枚の画像を撮影して行われます.そしてMCUと呼ばれる制御チップが適宜動いた距離を転送するように要請してくるのでそれに応じて移動距離を転送します.

4 Pixel Grabber

Pixel GrabberはAVAGOの光学センサに搭載されている機能の1つで,センサの保有するピクセルアレイの1ピクセル毎の値を読み出すことが出来ます.これによってセンサが現在どのような画像を見ているかを知ることが出来ます.

5 使用ツール

PC側で主に使用したものは以下になります.
• Python3.4
    • PySerial
    • matplotlib

MCU側では,いつものように以下の物を使用しました.
• PSOC Creator3.0 SP1
• PSoC4 4 Pioneer Kit
• 光学センサ : ADNS-5090


6 動作

システムは大まかに分けてMCU側とPC側に分けられます.

MCU側では
  1. センサへPixel Grabberの指令を出す
  2. レジスタから1pixel毎に361 ( =19x19 ) 回読み出す
  3. 読み出した値をUART通信でPCへ転送する
というステップを繰り返します.

対して,PC側では
  1. UART通信で転送されてきたデータを読み出す
  2. データを元に描画する(必要であれば動画・画像の保存を行う)
というステップを繰り返します.この時の"2"のステップ時に表示を拡大するのですが,今回は補間フィルタとしてガウシアンフィルタを使用しました.

7 結果 : ピクセルアレイの様子

各マウスパッド上で撮影したピクセルアレイの様子の画像を以下に示します.
画像は原寸から10~20%程度へ縮小表示した方が見やすいです.

Steelseries QcK


Artisan 飛燕(Hien) VE MID


Artisan 紫電改(Shiden-Kai) MID


G-Pad 小間久商店(Koma-Q)



ROCCAT Tait (Taito)



Power Support AirPad ProIII



COUGAR CONTROL Mouse Pad ( 3D Texture Surface )



HORI EDGE 401



DHARMAPOINT DRTCPW30C



DHARMAPOINT DRTCPW30S



DHARMAPOINT DRTCPW35CS



DHARMAPOINT DRTCPW35GR



DHARMAPOINT DRTCPW35HB



DHARMAPOINT DRTCPW35RS



DHARMAPOINT DRTCPW35SD


Appendix. 滑走時の動画

Steelseries QcKの表面の様子を撮影した動画は以下のようになります.埋め込みサイズが小さいですが,小さい方がわかりやすいと思うのでこのままどうぞ.



動画を見ていただければ分かる通り,フレームレートは低めです.PC側ではなくマイコン側でデータの取得やら転送でかなり時間がかかっています.
前は速度を出すために色々やっていたのですが,ガリガリに最適化して書いていたらちょっと転けてしまって開発中断したので今回は手堅く行きました.


1-Day Projectにするつもりが丸々2日かかってしまいました.
最後にやったのが6月でソースコードや環境が散逸してしまい,それの回収と復旧の方にかなりの時間がかかった気がします XD

2014/11/19

俺流Aimの向上方法・マイブームなサーバ

5月くらいからAimが良くないなぁと感じていたのですが,ここ数日は調子がいい感じなので今度Aimを見失った時のメモ程度に.

1日目 : 4時間デスマッチ(うち3時間はピストルオンリー)
2日目 : 3時間デスマッチ(うち1時間はピストルオンリー)
3日目 : つよい(1時間デスマッチ1時間ピストル) → フリックショットが当たりやすい.

まあ要するにそれなりに速く撃ち返してくる敵とどれだけの回数撃ち合えるかですね.
大事なのは「○○時間DM行って~」とか,「毎日○○体Bot撃てば~」とかそういう目標を決めてルーチンワーク的にやるのではなく,「デスマッチを出来るだけ楽しんで一つ一つの撃ち合いで撃ち勝とうという明確な意思を持ちながらやる」ことなのかなと思います.
とりあえず今はこれでいいですがそのうち慣れて来てしまうので,多分このモチベーションの維持が難しいです.

自分の場合,Aim調整にはなってもAimが向上するわけではない事が判明したのでBot撃ちはしてません.自分は相手がBotだとAccuracy重視で戦ってしまうので,精度を度外視して出来るだけ速く倒すことが要求される実際のマッチとは剥離しています.
そういうところであまり実践的ではないので練習になっていないのかなと気が付きました.

「撃ち合いに強くなるという」のはフラッシュバンやOne Way Smoke,裏取り,有利ポジション等を利用してイージーなフラグを稼ぐことではありません.イージーキルは取れて当たり前で,むしろ際どい勝負でどれくらい打ち勝てるかという話なので.
先ほど上げたフラッシュバン等は,撃ち合いを出来るだけ有利にする為にやる下準備で,違ったメニューで頑張るトピックです.


最近出没しているサーバを幾つか.クリックで接続します.
紹介するサーバはどれもPingが100以上と国内のサーバと比較してかなり高いですが,国内のサーバとMMで繋がる北米/シンガポールのサーバでやるゲームはレイテンシでかなりのビハインドを背負っています.そういう意味で別ゲーな実感があるので「ラグい」ものにも慣れた方が良いのかなと.機会があればネットワークのレイテンシによって撃ち合いにどんな影響があるのかも自分なりに考えていきたいですね.


-[US/West/128]- FFA DM Pistol Only | iEpic.net - EOReality connect 162.251.165.3:27015
いつも建っているピストルサーバ.CZは使用制限があるのでそこまでストレスは無い感じです.
ランダムでヘルメット所持でリスポーンするのがちょっと微妙.おそらくヘルメットが無いとGlockとUSPが強すぎるからそこら辺のバランス調整なのかなと思います.

(出来るかどうかはともかく)ピストルラウンドで1on2な状況でも勝てそうな自信がついたのでおすすめ.USPやGLOCKの胴撃ちがいかに弱いかが味わえるので,USPやGLOCKで胴体を狙ってしまうビギナーにもかなりオススメです.といいつつ最近のマイブームはCTの1stにCZ買うことなんですけどね.


-[US/West/128]- FFA Deathmatch | iEpic.net - EOReality  connect 162.251.165.27:27015
同系統のFFA DM.極普通な感じですが,チャットから呼び出せるメニューが色々あるので結構快適です.本数制限がありますがAWPが使えるのは嬉しいかも.
国内に建っている某サーバはルーティングが悪いのか何故かPingが北米サーバと同じくらいなので最近は北米サーバに繋いで遊んでいます.


[HG] 24/7 Dust2 Deathmatch #1 - HeLLsGamers.com | gameME connect 67.228.181.70:27015
GOでは珍しいTDMサーバ.リスポンポイントがエリア毎に分かれていて,友だちと遊ぶ楽しさを思い出しそうになるのがポイント高いです.
TDMなので向い合っての撃ち合いが多く,実践的な練習になります.
このサーバはPingがかなり高いのでこちらが「待ち」だと余程敵がミスをしない限り確定的に撃ち負けるという事態を見せつけられます.これによって「飛び出し有利」というこのゲームの基本的な仕様に慣れることが出来ます.

何故か敵陣のど真ん中で湧いた時のクラッチ感と,敵が大量に居るのでどう捌くか考えるのが面白いです.ラウンド時間が凄まじく長いのでドロップを期待している人には微妙かもしれません.

2014/11/16

USB HIDデバイスのクリックの最速応答を考える

rafa様が公開されている超有益かつ膨大なデータである下記事ですが,つい最近最速のマウスが更新されました.

rafalog: ゲーミングマウスのクリック応答特性を比較する The measurement of gaming mouse button lag
http://utmalesoldiers.blogspot.jp/2013/02/114.html

記事によると,TL8のG300と比較して1.2ms高速というのが最速値です.

「じゃあ,ただのデバイスオタクがファームウェアを書いたらどうなるの?というか限界まで簡略化すればどこまで速くなるの?」という疑問があるわけでして,レッツトライでございます.


ファームウェア

ソースはこんな感じ.
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ここまで初期化(USB,Clockのスタート等)
while(1)
    {

        //USBのACK待ち
        while(!USBFS_1_GetEPAckState(MOUSE_ENDPOINT));


        //Pin_1を読んで,Lowなら右クリックが押されたとして記録
        mouseData[0] = (!Pin_1_Read())*2;


        //USBコンポーネントに右クリックの状態のデータを送る
        USBFS_1_LoadInEP(1u, mouseData, MOUSE_DATA_LEN);
    }

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3行,というかACK待ちとかUSBのコンポーネントへデータ転送する処理以外は一行というファームウェアです.アセンブラで考えるとざっと数~十数クロックでしょうか.APIの処理時間は良くわかりませんが:D
これならCPUは33MHzで動いているので1μs以下で終わるはずです.

これでスイッチのON/OFFを読んでUSBで転送するだけのマウスの出来上がり.


測定方法,スイッチングについて

基本的な測定方法はrafa様の記事と同様ですので割愛.都合でマウスはG300rですがリネーム品なので変わらないはず.

しかし,私の書いたファームウェアの方はチャタリング処理を入れていないのでスイッチングはPSoC5LPで電子的にやってもらいます.

Pin_1が入力,つまり右ボタンです.G300の方を左ボタンとします.
Pin_2はスイッチです.1秒間に一度ONになります.(構成の都合で1024Hzを1024で割っています.)
このクロックは初期化時にClock_1_Start();を呼べば後はMCUのCPUを介さず勝手に動くので処理時間に影響はありません.


測定結果

生データです.良きに計らって下さい.
G300r vs LogicalGaming Advanced Technological Demonstrator Mouse
https://docs.google.com/spreadsheets/d/14YjSU0z3lwasOa2duRpI_JlFT0zq0COzGRFpRNL1nhQ/edit?usp=sharing

平均はG300rと比較して,0.76ms高速という結果になりました.

データを見ると0.1~0.3msのものと1.0~1.2msのものが多いですね.これはポーリングのタイミングにたまたまあぶれた時のばらつきだと考えられます.
ここで1ms以上差がある場合に関してのみデータを拾って平均を取ると,1.09msとなります.
これはIkariと同じくらいの値です.ここから考えると,TL8とIkariはおそらく割り込みを使っていて,スイッチが押された瞬間に最優先でボタンが押された旨を転送するルーチンを持っていそうです.
ここらへんの機種は,かなり気合が入っていると思います.



まとめ

測定結果から考えると以下のことが分かります.

・上位陣のIkariやTL8はおそらく割り込みを使って最優先で処理している
・G300から-1.1ms程度がUSBの仕様上の最速で,IkariとTL8より劇的に速い機種は存在しないはず

上位の機種はチャタリング対策は転送した後にやっているんだと思います.
おそらく,「押されたらまず転送,その後の十数msはスイッチの状態に関わらず押したままにする」という感じでしょう.確かに毎秒100連射出来る人なんていませんしこれでも良いです.
というか私も最近こういうコード書きました.

2014/11/15

レビュー:G302 MOBA ゲーミングマウス - ロジクール ( Logitech )

Review : G302 MOBA Gaming Mouse Logicool ( Logitech )

Logitechファンボーイ化が著しい昨今ですが,G302着弾からの即分解でレビューを行います.

Roccat Lua,G402,Perixx MX-2000Ⅱ等々,マウスパッドも含めると10発以上の弾はあるのですが,ブログ更新へのモチベーションは唐突なものです.
今回の場合,G300sへの期待が高まるばかりなのでG302で予行演習をしておこう的な :D

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2014/11/15 初出
2014/11/16 DPI設定等のスクリーンショットとコメントを追加
2014/11/23 1週間での使用感を追記
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Overview

[JP]G302 MOBAゲーミングマウス - ロジクール
http://gaming.logicool.co.jp/ja-jp/product/moba-gaming-mouse-g302

[EN]Daedalus Prime G302-MOBA-Gaming Mouse-Logitech
http://gaming.logitech.com/en-us/product/moba-gaming-mouse-g302


特徴的なのは後部の蜂の巣状のイルミネーションでしょう.カタログ上ではG402の方が横幅が大きい(72mm)ですが最大幅の部分は底面付近のスカートの部分ですので,持つ部分の横幅はG302の方が大きいです.持つ部分の横幅は,おおよそG402が60mm,G302が65mmです.横幅に関して言えばG302の方が大きいと感じる方が多いと思います.


底面デザインはGx02系は六角形を基調としたデザイン統一されています.センサー周りのソールは理由が気になるところです.配置から推測すると埃の侵入防止なのかなと思います.
分解は先端(画像左)に2つと後端(画像右)1つの小さめのプラスネジを外せば上蓋が外れます.


Internal Structure

内観の全体像はこん感じになります.後部のLEDが目立ちますが,他は妙な部品が生えている訳でもなく極普通の構成と言った感じです.手前のボケている部分はサイドスイッチ用の小型基板です.

写真のLEDの光が当たっている部分がポイントで,上半分は半透明の樹脂て覆われています.これによって使用者には眩しくないように見せて,下半分は下の写真のようなマウスパッドへの照明効果を作っています.ユーザビリティを考慮したギミックですね.



ロゴと後部の光は細かく制御出来ます.ブリージング効果のON/OFF,周期と最大輝度を変更
出来ます.

ブリージング効果をOFFにすると双方の明るさを個別に設定できます.
輝度を最小にすれば点灯しなくなりますのでロゴのみを光らせる,とか全部消灯するみたいな設定も可能です.

光源の制御は約10ms周期のPWMのDuty比を変えるというスタンダードなもの.輝度が最大以外の場合,高速に振ると光が分身するのでPWM周期をもう少し短くしたほうが良いと思うんですけどね.


・新機構
巷で噂のスイッチ部.バネのおかげがスイッチ部の筐体のおかげか押した感じはカチカチ感が少なく,若干「しっとり」とした感じです.ストロークはG402やG300(r)と比較すると少し深め.
個人的にはこのスイッチの感触はかなり好みです.
G300rとG402とG302で連射速度を比較したのですが回数はほぼ同じでした.連写してる時のフィーリングはかなり良いです.

最近のLogitech製品でよく見かける謎の樹脂片は健在.
個人的な推察では表面を滑らかにしたいからだと思います.見ての通り,周囲のような通常の成形だと表面がザラザラしていたりヒケがあったりするので,別に専用の樹脂を取り付ける事でマイクロスイッチのキートップとの接触面の品質を安定させたいのではないかと思います.

 分解で注意したいのがこの絶縁パーツ.初めは製造で混入したゴミだと思ったのですがUSBコネクタ部の絶縁パーツです.
これがないとネジでUSBコネクタがショートしてマザーボードごと持っていかられるかもしれません.

LED部. G402もロゴ用のLEDって緑と青の2色のチップLEDが使われていた記憶がします.ロゴ色にこだわりがありそうです.
左の①~⑫まで印刷してあるシルクには③にチェックが入っていました.


Switch

メインはF2FC-F-7N(20M)で,OMRONの2000万回耐久モデルです.

中ボタンはいつものゴミタクトスイッチと思いきや・・・見た目は極普通のタクトスイッチですが押した感じがマイクロスイッチっぽいです.従来機種と比較して中ボタンの感触がかなり良くなりました.DPIサイクルがバインドされている背面中央のボタンはKailh製.

サイドボタンもKailh製.擦れていて微妙なのですがNF 16ZA(?)という印字があります.
基板裏面を見たらヤニの後があったのでサイドボタンは手半田みたいですね.

サイドも含め全て日本製OMRONのマイクロスイッチ搭載!みたいな謳い文句でPro版とか出ると面白いですよね.私は欲しいです.


Main Control Unit



いつも通りのSTMicroelectronicsのARM®-based Cortex®-M3搭載32ビットマイコン.
[PDF]STM32L100R8のデータシート
Ultra-low-power 32-bit MCU ARM®-based Cortex®-M3, 128KB Flash, 10KB SRAM, 2KB EEPROM, LCD, USB, ADC, DAC
L100なので超低消費電力モデルですが採用理由はローコストだからだと思います.
今年(2014年)の6月頃に製造されたもののようです.

これのポイントの高いところは2KBのEEPROM(いわゆる内部メモリ)がMCU内に搭載されていることですね.はじめから内臓されていればパーツ代や実装コストがカットが出来そうなので今後はこういったMCU内のEEPROMが主流になっていくような気がしますね.

下の水晶発振子はH8.000H4Cという印字がありますが詳細不明.
Internal Clockが搭載されているのに外部のものを用意する理由が気になります.基板に金属パーツが付いていると気合が入っている感じがしてすごく好きですが :D


Sensor

噂通りのAM010です.データシートが無いので推測ですが,M1421TはサブコンがM,製造時期は2014年21週(5月頃),センサーダイのソースがTという意味だと思います.018はロットかな.


「A」のロゴがあるので純正レンズです.レンズにも印字があるんですがよく分からないんですよね.多分ロットなのかな・・・
LEDはおそらくG402と同じで直視すると少しだけ赤く見える程度の赤外線LEDです.普通に見るだけなら害はないですが光学機器で見てはいけません.

DPI / ボタン / ポーリングレートの設定はこんな感じです.いつもどおりのLGSですね.
噂(rafa様の記事参照)通り,1プロファイルのみです.前述のEEPROMが2KBが関係しているかもしれません.2KBも何書いているのかは謎ですが,マクロ機能で何が入力されるか分からないので多めに取っている感じかもしれません.

2000DPI以降は補間らしいので事実上2000DPI以下の運用が基本となります.補間のON/OFFに関わらず240~4000まで80刻みで設定可能です.
DPI設定は5つまで設定できますが自分は感度レベルの個数を1にして完全に固定DPIで運用しています.

メイン・ホイール・サイドの5ボタンを抜くと余っているボタンが1つなので,DPIを頻繁に変えたい人はDPIサイクルを割り当てるしか選択肢がなさそうです.


使用感

良いです.G402とG302のどちらかを選べと言われたらG302を選ぶでしょう.
なぜならそっちのほうが軽いから.以上.

持ち上げやすさ(ホールド感)では別系統の形状ですがどちらも支障がないレベルですね.G302は形状が特殊なので持ち方によってはかなり相性が出ると思います.
購入を検討している方は一度店頭で触ってみることを強く推奨します.
私の場合は横幅が一番太くなっている山の部分に親指と薬指を引っ掛ける感じでホールドしています(伝われ).
今までラインナップされていた製品のホールド感とは別物です.G300でもないしG100でもないです.大まかな形状はどちらかと言えばG100に近いですが,大きく張り出した横の山と増量された重量があるので別物に感じるような気がします.前から見ると逆三角形になっていて持ち上げやすい形状はG300のコンセプトを意識しているとも言えるかも.

上述しましたが,スイッチの感触はかなり好みです.

G300と選べと言われたら,考える時間がもう一週間必要です:D
センサー性能はこちらのほうが良いですが,ホールド感や小ささではG300に軍配が上がります.重量差は気になりません.
※個人の感想であり,個人差があります.

しばらく使ってみようと思います.Logitechが過剰に広い横幅に設計した意図を自分なりに見つけたいので.
なにはともあれG300sへの期待が高まりますね.


・一週間使ってみて
ちょっと早いですが,「自分の場合に限っては」G300の方がベターという結論が出たので試用終了.

最終的に,左の山は親指の先に,右の山は薬指の第一関節付近に引っ掛ける感じでのホールドとなりました.小指は薬指の更に後ろで筐体側面に軽く触れる程度です.
手のサイズ的には親指と薬指で大きな物を持っている感じではあるのですが「一応可」というレベルでしたが,センサー性能とマウスを大きく感じるホールド感,重量を勘案した結果G300の方が良さそうだという感じでした.

要するに,「性能も質感も上位互換な感じなのだけれど,G300より大きくて少し重いのでG300の方が良いよね」という感じです.G300にも不満がないわけではないのですがあの軽さと小ささに慣れると戻れないものがあります.

こだわりがある人でなければオススメ出来そうですが,問題は価格でしょうか.全体的な実装・性能・質感やクリックの新機構などを考えると軽量級マウスの中では高いレベルにあると思います.筐体サイズに関しては間違いなく大型機ではないですが小型だと思えるかどうかは持ち方とオペレータの感覚に大きく依ると言えます.個人的には形状は大きく違いますがG402と同等クラスのサイズ感のように思われます.

これで更新は終了予定です.


おまけ:

・軽量化
DPIサイクルとロゴへのクリアパーツは簡単に外せるので軽量化出来ます.ボタンがひとつ使えなくなりますが,さらなる高みへを目指す方は是非.


・クイックスタートガイド
 
 
Unboxで笑ったのは始めてです.

・基板の画像
個人的メモとして基板の画像を貼り付けておきます.
 

2014/11/03

CS:GOでのウィンドウモード,フルスクリーン,フルスクリーンウィンドウの遅延

またも遅延ネタで行きます.

このネタ,すべてのゲームでの各パラメタのとりうる組み合わせすべてに関して遅延時間を測ると「ゴール」なのですが,このとりうる組み合わせの数は文字通り無限なので,遅延界のグローバルエリート的な人にプロジェクトファイルを差し上げるので後はやって頂きたいのですが...我こそは遅延界のザ・グローバルエリートだ!という方は連絡して下さい :D

本記事では,下図に示したディスプレイモードの各設定について,[マウスの入力→ディスプレイの描画]までの描画遅延時間を計測し,最も短い描画遅延を達成できるセッティングを明らかにしていきます.

今回はCS:GOに関して検証・計測を行いますが,SourceEngineである各タイトルに関しては大きな差はないと思われます.また,その他のFrostbite等のゲームエンジンに関してもある程度の参考情報にはなると思うので,是非活用して下さい.

●検証方法

下記参照.

#LogicalGaming: ゲーム毎の描画遅延を測定してみる
http://logical-gaming.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html

今回は本記事最初の図のディスプレイモードの項のみを変更して遅延時間を計測します.


・DWMについて
DWMに関して詳しくはまたいずれ.
今回の場合,コンペティティブなプレイヤーでDWMが有効であるのはあり得ないので,いわゆるWindows AeroとDWMはOFFにして検証します.


●結果

今回はグラフありです.


Window             17.3 ms
FullscreenWindow   17.8 ms
Fullscreen         16.1 ms
予想通り,僅かにフルスクリーンが速いという結果になりました.
しかし,差は1ms程度なのでフルスクリーンウィンドウと大きな差があるわけではありません.また,自分でもプレイしてみて知覚できる程の差は感じられませんでした.
万全を期したい場合はフルスクリーンでプレイする方が無難でしょうが,基本的にはフルスクリーンウィンドウで享受できるメリットも多々あるので,好きな方を使うと良いと思います.

ちなみに自分は基本的にフルスクリーンでプレイしています.