光学式マウスのセンサ
光学式(LED式,レーザー式)マウスのセンサの原理を大まかに説明すると,内部のカメラで高速撮影した画像の変化を見て,センサがの移動量を相対的に推測するものです.![]() |
移動量の推定 (画像はADNS-3090のFrame Capture) |
また,マウスが高速に動いていたり加速度の変化が伴う場合にトラッキングエラーが発生することが知られています.
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Logitech G300(125Hz,750DPI)のトラッキングデータとエラー箇所 |
rafalog: ゲーミングマウスのトラッキング特性簡易検証 Tracking characteristic test of gaming mice
光学式センサの性能は向上していますが,上で挙げた通り理想的な精度を出すのはまだ難しいという問題点があります.
電磁誘導方式
電磁誘導方式はペンタブレットなどに採用されているもので,アンテナコイル群と座標支持器を用いて座標支持器の位置を絶対値で検出するものです.![]() |
Wacom Bamboo Pen CTL-460/K0のトラッキングデータ |
メリット
- 高精度
デメリット
- トラッキング面の広さは,アンテナコイル群のサイズに依存
- 現行機種ではリフトオフディスタンス(LoD)が大きい
- 高価(特にトラッキング面が大きいもの)
- ポーリングレートが低い
課題
先程挙げたデメリットは電磁誘導方式のゲーミングマウスを実現するための課題になります.そこで,いくつかの課題について議論します.
トラッキング面の制限
トラッキング面の制限ですが,現状のゲーミングマウスの使い方においては問題になりません.光学式マウスの暗黙的なメリットとして「どこでも使用できる」という特徴がありますが,ゲーミングマウスはゲーミングマウスパッドと一緒に使用されることが多く,センサが読み取る面はマウスパッドのみにほぼ限定されています.LoDが大きい
現行機種ではLoDが数cmあります(ペンタブレットとしてはメリットです).マウス用途として考えるのなら,測距センサなどの非接触で接地検出できるセンサを用いることで,リフトオフを検出することができます.また,マウスソールの裏に圧力センサなどを取り付けることで,のリフトオフ検出も可能だと考えられます.まとめ
本記事では,光学式センサの問題点と,新しいゲーミングマウスのセンサとしての電磁誘導方式について考えました.
現在,WacomはKC-100などのペンタブレット上で使用可能なマウスをリリースしていますが,ゲーミングを意識した製品ではないため,実際にゲーミングマウスとして運用するのは難しいと思います.また,ポーリングレートの低さや,価格などの問題も存在しているのも事実で,製品化するには様々な課題を解決する必要があるでしょう.
しかし,電磁誘導方式の精度の高さは素晴らしく,電磁誘導方式を採用したゲーミングマウスが出ると,ゲーミングマウスもさらに面白くなるのではないでしょうか.
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