以前マウスが見ている景色について調べたという記事を書きました.
マウスのセンサはマウスパッドをカメラのようなもので撮影して,そこから動かした距離を測定しています.
そのセンサの仕組みの中で,「マウスがどのような写真を撮影しているのか」という事を調べました.
今回はマウスのセンサがマウスパッドの表面でどれくらいの範囲を見ているのかを明らかにしていきます.
範囲が分かることにより,マウスが読み取れるような凹凸パターンのサイズに検討がつきます.
例えば,凹凸のサイズが非常に大きい面ですとマウスは小さい範囲しか見えないので変化がないように見えます.逆にマウスからは滑らかに見えるくらい小さい凹凸しかなければそれも変化を読み取ることが出来ません.どちらの場合も良好なトラッキング結果は得られないでしょう.
それではいくつか撮影してみましょう.撮影環境は前回と同じです.
まず最初はどこのご家庭にもあるノギスです.目盛の部分を撮影しました.
ノギスの目盛部分 |
目盛の黒い線がくっきり写っています.
"目盛の太さ"は目測ですが0.1~0.07mmくらいだと思います.
次はレシートに印刷してあったQRコードを撮影しました.
レシートのQRコード |
こちらも綺麗に写っています.
このQRコードは12.2x12.2mmの範囲に33x33ピクセルで印刷されています.
この2つの画像から考えると,ADNS-5090が見ている範囲は0.8x0.8mm程度であることが分かります.ADNS-5090は19x19ピクセルの画素数ですので,1ピクセルが表す範囲は0.04mm程度であると分かります.
補足 : レンズ倍率について
レンズの倍率を低くしてDPIを犠牲にしつつ最大トラッキングIPSを上げたりするようなこともあるらしいです.
倍率を変更すると見える範囲も変化するので適切なパターンのサイズも変化します.
例えば低倍率にすると見える範囲が大きくなり最大トラッキング速度は上昇しますが,その分小さな凹凸は見えなくなります.その場合は表面の凹凸パターンが大きめのマウスパッドの方がより良いと考えられます.
生存報告も兼ねて.
ADNSを使った低画素デジカメの実装素晴らしいです:o
返信削除1ピクセル当たり0.04mm²の範囲を見ているのなら
DSPで一切ポストプロセスしなかった場合の
プレーンな分解能って635dpiくらいになるのですね。
30x30Pixelsのセンサーでもせいぜい1000dpiくらいのような気がします。
近年のハイエンドセンサーは10000dpiを超える設定が可能ですが
この記事を見ると、あえて800dpi辺りで使うのがネイティブ志向に沿うのかなと思いました:p
rafa様
削除見えているピクセルに大して仕様上のDPIが高いのは内部で色々やっていそうな感じですね.
サブピクセルも込み込みでデータ処理しているような感じでしょうか.
ImageArray→DSPのデータの流れは見えないので詳細はよく分かりませんが・・・
人が「意図して動かせる最小単位」も(摩擦係数にもよりますが)大して細かくないので,
マウスのDPIはせいぜい1000dpi程度で良いのではないかな,と思っています.